劇場や音楽堂(ホール)の魅力を高めるため、超党派の議員で検討されてきた「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律(仮称)」の原案が明らかになった。美 術館や博物館のような根拠法がなかった劇場や音楽堂に法的裏付けを持たせ、国や自治体が環境整備のために予算確保などで努力するよう促すことなどが柱。議 員立法で提出され、今国会での成立の公算が大きい。
全国公立文化施設協会の調査では、全国で約2千あるとされる劇場や音楽堂で、本来期待されていた演劇や音楽といった「実演芸術」の場としてではなく、スポーツやカラオケ大会などに使われたりする例もあることが明らかになった。
今回の原案では、劇場、音楽堂を「実演で表現される芸術の公演を企画し、行うことを目的とするもの」と位置づけ、実演芸術以外に使うことを牽制(けんせい)した。
また、自治体に、劇場や音楽堂の環境整備に必要な計画をつくる努力規定も盛り込まれた。あわせて「劇場、音楽堂の事業を行うために必要な専門的能力を有 する者を養成、確保する」ことも国や自治体に求めており、新たな箱モノの整備よりも、実演家や、事業をマネジメントする劇場経営者のような人材に投資する よう方向付けもしている。
現状では、多くの劇場や音楽堂は外部の芸術団体の出来合いの公演のために舞台やホールを貸し出す「貸館事業」が優勢だという批判がある。そこで法案には「手薄だった劇場や音楽堂独自の自主企画公演を活発化させるねらいもある」(関係議員)という。
ただ法案は、全体的には努力義務が多い理念法で、実効性はまだ不透明だ。原案では今後、「活性化指針」を国がつくるべきだとされた。指針の中で、どの劇場に芸術監督やアートマネジャーを置くかなど、具体像が示されることになりそうだ。(木村尚貴) 2012年5月2日10時45分




